敦盛は胸にひそかに与一を愛する心を抱いていた。
与一もまた、敦盛を愛していた。
しかし平氏と源氏…許されないこの気持ちに二人は戸惑いを隠せなかった。
そんな日の事であった。
与一が弓の練習をしていると、どうしたものか、敦盛は隠れて単身でやってきた。
「敦盛…どうしてここへ」
「ここかな、思って」
ばれてはいけないと二人は神社に入った。
「私、久し振りだな、与一の弓さばき見るの」
与一は答えない、
「ねぇ、今日は何羽落とした?」
「…」
「どうした?」
重く、与一が口を開く。
「…迷惑なんですよ、」
「え…?」
「あなたは自分の都合で私の元へ来ますけど、迷惑なんです」
「きゅ、急に何言って…」
「考えてもみてください、私たちは恋仲でもなんでもないし、寧ろ敵どうしなんですよ?」
「でも、与一は私を愛してるって言ってくれたのに…」
「私が本気で言うと思ってるんですか?平家の情報をあなたから盗むためですよ」
敦盛は眼から涙をぽろぽろ零しながら言った。
「与一の嘘つき…」
そう残すと神社から出て行った。
一人、与一は嘘だらけの自分を悔やみ、神社の真正面に立つと、手をあわせた。
「どうか…どうか敦盛が私を忘れ、死に急ぐ事がありませぬ様に…」
そう祈った。
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はい、なんとなく思いつきで書いてみました。
最後の文章は、与一が思った願いなわけなんですが、自分を忘れて、自分のせいで死にませぬようにって意味です。
っていうか。
屋島の合戦以前に敦盛亡くなってるんですよね・・・。
二人って会ったことあるんでしょうか。。。
一応、会ってたということで。