壇之浦で入水した知盛は、ふと気が付いた。
其処は、死後の世界だった―。

「…此処は…?」
その場所は、なにもなく、なにも聞こえなかった。
唯知盛は誰かに呼ばれているような気がし、ふと立ち上がり歩き出した。
――すすり泣く声が聞こえる…。
「…誰かおるのか?」
声は続いている。
気味が悪くなり薙刀を探す、だが何処にもない。
「…天は最早、私にも見切りを付けたのか」
そう呟き、足を進めた。

「…とも…も…あに…う…」
「重衡!?」
「あに…うえ…」
知盛は涙を隠せなかった。
「重衡…こんなに痩せ…」
「…兄上も…」
目をふさいでもふさいでも溢れてくる。
「重衡…お前も死んだのか…?」
「…兄上は…遅いですよ…。私はつい先程鎌倉で…死にました」
「可哀想に…これが一族の最期か…重衡まで…」
「…兄上、お願いがあります」
知盛は涙を拭って聞いた。
「…私を…抱いてください…」
「し、重衡…何を…」
「兄上の…温もりが欲しい…お願いです」
そう言って重衡は知盛へ手を伸ばす。
「…解った」


「兄上…暖かいです」
そう喜んで笑み浮かべる重衡をそっと抱き締める。
「重衡…」
口を触れ合わせ得るものはお互いの唾液。
「…ぁ…兄上…ふふっ…」
照れ笑う重衡を可愛がる。
重衡は着物から自身を取りいだし、舐めてとばかりに知盛を見つめる。
「…赤子の様だな」
くすりと笑うと重衡を舐めた。
恥ずかしそうにする重衡に
「…昔、よく風呂に入ったではないか」
と知盛は茶化す。
「暖かいです…兄上…これで安心して逝けます…」
「何を申しておるっ…重衡…っ!重衡!」
今までの時間は嘘だったかの様に知盛の腕の中から重衡は消えた。
「…重衡…こんな…」
知盛は一人残された。

****************************************
兄弟カプ苦手な方はすみません;自分知盛ファンでして。。
是非一度は書きたかったんで…。暗い暗い。

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル