「殿が、ご不憫ですな」
「目を真っ赤にして帰って来られた」
一人の家臣が、ぽつりと呟いた。
「都に雪が降ってしまった、、、」
それを聞き咎めた周りの家臣が激怒し、
「何故言わなかった!」
「しかし、、あやふやにも白化粧などと、、、日付も無いから戻らずとも別に良いのではないかと」
「馬鹿者!殿は源氏に与する反逆者として、平家と、、身内を敵になさるような立場になられるのだぞ!!」
「ならば、このまま義経殿と離れて、殿にお辛い思いをさせろと言うのか!…その方が、嫌だ」
散り散りになった家臣達の前に、教経が現れた。
「殿、、、」
「話は聞いたよ、、、雪、降ったんだってね、帰ろ」
「殿!それで良いのですか!?」
「しょうがないじゃん。元よりその約束で来たんだし」
「、、」
「じゃあ、いこっか」



通りには、平家の公家を一目見ようと人だかりが出来ていた。
噂はすぐさま義経の耳にも届いた。
「教経が!?」
まさか本当に帰るとは、、しかもこんなに早く、、、
義経は皆の話も聞かず、教経の乗った牛車を探す。
しかし見つからない。
ふと涙が零れた。足が震えて竦んでしまう。
ーしっかりしろ。
気付けば、あの日の道だった。
足元にあの時のまま、髪飾りが落ちている。
あげるはずだった髪飾りー。
義経は走り出した。
倒れても倒れても、走りつづけた。
「のりつねーっ!」
今でも好きだから。

「…義経?」
雪道を一人誰かが走っている。
もう町の景色も見えず、奥州の門を出るかと思う頃だった。
「止めろ」
牛車を止め、御簾を開けると義経が走ってくる。
「のり、、つね、、」
「馬鹿だな、雪まみれになっちゃって」
「これ、、忘れただろ」
それは義経からの暖かい気持ちだった。
教経は、普段しまっている手を出して、義経の手を握り締めた。
「こんなに冷たくしたら、、下手な弓が更に下手になるよ」
皮肉の裏に、教経は感謝の念を込め、微笑んだ。

そして髪飾りを受けとった教経は、別れではなく、また会うために強く抱きしめ、牛車を走らせた。
「じゃあね」



雪道は険しく、冷たい現実をそのまま表している。
でも今は、暖かい。
いつか、また会える。
私達はこの雪を乗り越え、現実さえも覆してみせる。

教経は牛車の中、空を見上げ義経を想い、眠った。

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